皆さんこんにちは。今日は2024年11月22日(金曜日)、東京の天気は晴れ。昨日寒い小雨の日だったので、気持ちいい位晴れている良い朝です。
さて、昨日11月21日は、【特別展】没後50年記念 福田平八郎×琳派 山種美術館に続き、表参道へ移動して、ESPACE LOUIS VUITTON TOKYO(エスパス ルイ・ヴィトン東京)で開催されている、ウェイド・ガイトンによる個展「Thirteen Paintings」を鑑賞してきました。
山種美術館から徒歩で20分位で到着できました。当初はバスで移動しようかと考えていましたが、遠くなさそうだったので健康のために歩いて移動です。1日に2つの展覧会を鑑賞できるなんで、贅沢な1日です。江戸、明治、大正、昭和の日本画を鑑賞した後は、アメリカの現代アートへ世界がガラッと変わります。
ウェイド・ガイトンのことはエスパス ルイ・ヴィトンのウェブサイトで知ったので、作品の鑑賞自体も始めてです。好みの作風でワクワクしながらギャラリーへ向かいました。
個展のタイトルが「Thirteen Paintings」。13枚の絵画という意味です。係の方が説明してくださったのですが、ウェイド・ガイトンの展示方法は基本的に作品を重ねて展示することが多いようで、最初の一枚目しか表が鑑賞できないようになっていますが、今回の作品は、この個展が初披露だったため、重ねずに全ての作品が見えるように展示されています。
エレベーターでギャラリースペースまで上がることになります。
Fondation Louis Vuitton
フランスのパリにあるルイ・ヴィトンによる財団の美術館フォンダシオンルイヴィトンの解説から始まります。
アメリカの建築家、フランク・ゲーリーがデザインしています。
インクジェットプリンターのインクが伸びた跡が描かれています。
アンディ・ウォーホルとの共通点
Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)との共通点は幾つか見てとれます。ウォーホルが制作した報道写真を元にした絵画とウェイド・ガイトンのThe New York Timesのスクリーンショット。複製可能な制作方法。ウォホールのシルクスクリーン、ウェイド・ガイトンが採用したインクジェットプリンター。ウォーホルの酸化絵画シリーズの「ピス・ペインティング(キャンバスに銅の顔料を塗って尿を撒き散らして描かれた作品)」「シャドーペインテインングシリーズ」とガイトンの抽象画。
共通項はありますが、キャンバスを重ねて立体的に展示し、彫刻的な意味合いを持たせたり、アナログではなくデジタル技術での表現といった新しい要素も見れるのが面白い作品群です。
そう考えて調べていたら、New Yorkのギャラリー「Nahmad Contemporary」より「WARHOL WOOL GUYTON by Andy Warhol, Christopher Wool, Wade Guyton」という書籍が販売されていました。同ギャラリーで2016年11月2日 – 2017年1月14日に開催された「WARHOL WOOL GUYTON」という展覧会の図録になります。約8年前の展覧会です。
Warhol Wool Guyton – Les presses du réel (book)より
このカタログは、ウールとガイトンの作品にウォーホルが与えた影響の軌跡をたどります。アーティストが採用した革新的な印刷プロセスは、抽象と具象の間を揺れ動く絵画の多様性を統合する概念的な繊維として機能します。グレン・オブライエンのエッセイ付き。
このカタログには、アンディ・ウォーホル (1928–87) の後期抽象画のセレクションと、今日の代表的な現代美術作家であるクリストファー・ウール (1955年生まれ) とウェイド・ガイトン (1972年生まれ) の絵画が並んで掲載されています。1978年から2010年までの連続的でありながら異なる時期に制作されたこれらの作品は、戦後の抽象画の言語を想起させる曖昧なマークと表現的なジェスチャーを通じて形式的に収束しています。アーティストが採用した革新的な印刷プロセスは、ここで紹介する絵画の多様性を統合する概念的な繊維として機能しています。
ウォーホル・ウール・ガイトンに収録された絵画のセレクションは、ウールとガイトンの作品に対するウォーホルの影響の軌跡をたどっています。彼らのコンピューター支援印刷技術は、20世紀半ばに先駆者が開拓した体系的なシルクスクリーンのプロセスから自然に発展したものです。各アーティストが使用したさまざまな高度に技術的な手段により、抽象と具象の間を揺れ動く刺激的な絵画が生み出されています。
参照:https://www.lespressesdureel.com/EN/ouvrage.php?id=5506&menu=0
WARHOL WOOL GUYTON by Andy Warhol, Christopher Wool, Wade Guyton
アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)が、クリストファー・ウール(Christopher Wool)とウェイド・ガイドン(Wade Guyton)の作品に与えた影響を辿る作品集です。日本ではtwelvebooksさんで購入できます。
新しく感じるのは、インクジェットプリンターで出力したものを絵画(Painting)と呼んでいるところです。ウォホールがシルクスクリーンを採用した作品を絵画作品としたように、新しい技術を導入しているところが面白く感じました。パソコンのスクリーンショットやスキャナーも写真表現として成立するという主張も興味深いです。
サイズも魅力
作品のサイズが213 x 175cm。高さが2m以上あるので、サイズも魅力を感じる要因となっています。ウェイド・ガイトンの個展を日本で観れる貴重な機会だと思いますし、ギャラリーの天井が高いのも空間デザインの魅力となっているので、興味ある方はぜひギャラリーに是非、足を運んでください。会期は2025年3月16日までとなっています。
Andy Warholファンとしては魅力的に映るウェイド・ガイトン
ウェイド・ガイトンは冒頭で述べさせて頂いた通り、初めての作品鑑賞でした。個人的にウォホールが好きなのでウェイド・ガイトンの作品も魅力を感じ、特にThe New York Timesのスクリーンショットを用いた作品は心惹かれるものがありました。
Wade Guyton
スキャナーやデジタルインクジェット技術を使用してキャンバスにデジタル絵画を描くことなどを行うアメリカのポストコンセプチュアルアーティストです。
彼のツールは、大判プリント用の機械であるエプソン スタイラス プロ 9600 インクジェット プリンターで。ガイトンはコンピューターを使用して絵画を制作しています。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
2004年の声明で、ガイトンは次のように述べています
最近、私はエプソンのインクジェット プリンターとフラットベッド・スキャナーを、絵や絵画、彫刻のような作品を作るためのツールとして使っています。私は本と多くの時間を過ごすので、必然的に本のページを素材として使うことになりました。本から切り取ったページをインクジェットプリンターに通したのです。私は Microsoft Wordで描いたり入力したりしたシンプルな図形や文字の非常に簡略化された語彙を使っていて、カタログ、雑誌、ポスター、さらには真っ白なキャンバスからこれらのページの上に印刷しています。その結果得られる画像は、機械が設計しているような、洗練されたデジタル写真ではありません。プリンターと私の素材の間にはしばしば争いがあり、その痕跡が表面に残ります。引っ掛かり、滴り、筋、位置ずれ、ぼやけなどです。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
作品集
ウェイド・ガイトンの作品集は結構販売されておりtwelvebooks、Amazon、Oil by 美術手帖、Postさんで購入できます。
OIL by 美術手帖
Amazon.co.jp
POST
twelvebooks
参考
Fondation Louis Vuitton: https://www.fondationlouisvuitton.fr/en
マシュー・マークスギャラリー:https://matthewmarks.com/artists/wade-guyton
美術手帖:ウェイド・ガイトン個展「THIRTEEN PAINTINGS」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)開幕レポート。注目の日本初個展
twelvebooks:WARHOL WOOL GUYTON by Andy Warhol, Christopher Wool, Wade Guyton
【意訳】強迫性複製時代のアート:ウェイド・ガイトンの20年間
How Andy Warhol, Christopher Wool, and Wade Guyton Reimagined Printmaking (vice) https://www.vice.com/en/article/warhol-wool-guyton-printmaking-reimagined/
WARHOL WOOL GUYTON:https://www.nahmadcontemporary.com/publications/warhol-wool-guyton
WARHOL, WOOL, GUYTON – – Exhibitions – Nahmad Contemporary
SHADOW PAINTINGS Andy Warhol – ARTRANDOM
LVH : Andy Warhol and the Shadow Paintings
現代写真研究者 北 桂樹 現代写真マガジン「POST/PHOTOLOGY」 #0017/ウェイド・ガイトン「THIRTEEN PAINTINGS」@エスパス・ルイヴィトン東京
「絵画」を再定義する物質的なアプローチ。ウェイド・ガイトン インタビュー(聞き手:桝田倫広)
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