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『オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる』物語を鑑賞してきました

2025年10月25日〜2026年2月15日迄、国立西洋美術館で開催されていた、オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語を鑑賞してきました。年末年始に行こうと思っていましたが、バタバタしており最終日になってしまったので、入場規制もかかり混雑していましたが、なんとか鑑賞してきました。

基本的に撮影禁止でしたが、ピエール=オーギュスト・ルノワールの《ピアノを弾く少女たち》、エドガー・ドガの《家族の肖像(ベレッリ家)》は撮影OKでした。後、後半の作品も少し許可されていましたが混雑していたため、この2作品のみ撮影できました。

印象派といえば、戸外での作品を思い浮かべてしまいますが、本展は室内を舞台とした作品群を中心に構成されています。何故、室内なのだろう?と興味を惹かれ足を運んできました。室内ということで肖像画を中心に鑑賞できます。

写真撮影は禁止されていましたが、エドゥアール・マネの《エミール・ゾラ》、ポール・セザンヌの《ギュスターブ・ジェフロワ》、クロード・モネの《ルイ・ジョアシャン・ゴーディベール夫人》等、素晴らしい肖像画の作品が多数来日していました。

1. 「戸外」ではない、印象派のもう一つの魅力を示すため

一般的に印象派といえば「太陽の下、屋外で描く」イメージが強いですが、実際には画家たちは室内という空間でも、光の移ろいや人々の親密な時間を熱心に描いていました。この展覧会では、これまで注目されがちだった「戸外」の対極にある、印象派の「もうひとつの真実」にスポットを当てていました。

2. 近代化する生活(モダン・ライフ)の描写

19世紀後半のパリは急速な都市開発が進み、人々の生活スタイルも変化しました。画家たちは、新しい住まいや家具、調度品といった「近代的な室内」を、当時のリアルな生活の舞台として描こうとしました。室内画を通じて、当時の風俗やファッション、装飾芸術との関わりを浮き彫りにしています。

3. 「親密さ」と「人間ドラマ」の探求

室内というプライベートな空間は、家族や友人との深い絆、あるいは孤独や不安といった、人間の内面的なドラマを表現するのに最適な場所でした。ドガの《家族の肖像(ベレッリ家)》に代表されるように、部屋の中に漂う空気感や心理的な緊張感を捉えた作品を紹介することで、画家たちのより深い観察眼を提示しています。

「印象派=外での写生」という固定観念を覆し、近代化する生活の中で生まれた新しい室内空間や、そこに流れる光・音・家族のドラマといった『親密な物語』としての印象派を再発見できる美術展でした。フランス パリのオルセー美術館に行ったことないですが、日本でも鑑賞させてもらえるのは本当に良い美術展でした。

個人的に好きなラトゥール

個人的に好きな画家のアンリ・ファンタン=ラトゥールの《デュブール家の肖像》も展示されており、こちらも鑑賞できてよかったです。アンリ・ファンタン=ラトゥールは印象派の作家ではないのですが、後に「印象派」と呼ばれるようになる画家たちの母体「バティニョール派」(Groupe des Batignolles)の一員であり、印象派の作家等と交流のあった重要な作家の1人なので、印象派の美術展にも紹介されることが多いみたいです。

バティニョール派

バティニョール派(Groupe des Batignolles)とは、1860年代後半から70年代初頭にかけて、パリのバティニョール地区にあった「カフェ・ゲルボア」に集まった若き芸術家たちのグループです。彼らは後に「印象派」と呼ばれるようになる画家たちの母体となりました。

伝統的な画壇に反旗を翻していたエドゥアール・マネをリーダー格(兄貴分)として仰いでいました。モネ、ルノワール、ドガ、ピサロ、セザンヌ、バジールなど、後に近代絵画の巨匠となる面々が揃っていました。当時の保守的な官展(サロン)の審査のあり方に疑問を投げかけ、屋外での光の捉え方や、現代的な生活をどう描くかについて、夜な夜な激論を交わしていました。

このバティニョール派のメンバーが、1874年に自分たちで企画した展覧会がいわゆる「第1回印象派展」へと繋がっていきます。ラトゥールはサロンでの成功にこだわっていたので、「第1回印象派展」への参加はしておらず、作風も写実主義的です。

最後に

印象派の美術展は毎年、何度も開催されていますので、少し飽きているかたにも楽しめるような展覧会だったと思います。もう開催は終了しているので、残念ながら行けなかった方で、興味がある方は図録だけでも公式サイトから、まだ購入できます。

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