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現代美術「松谷武判 Takesada Matsutani」展(東京オペラシティ アートギャラリー)を鑑賞してきました

皆さん、今晩は今日は2024年12月13日(金曜日)23:30分。昼頃から時間が作れたので、東京オペラシティ アートギャラリーで開催されている、松谷武判(まつたに たけさだ)さんの回顧展を鑑賞してきました。

撮影許可が出てたのですが、今日は残念ながらいつも使っているカメラを忘れてしまったので、スマホレベルの画質が映る安いカメラが鞄に入っていたので、そちらで撮影してみましたが、こちらが残念ながら画質が悪すぎたので、ほんの一部だけ写真を紹介します。。。iPhoneで撮影すればよかったです。。。今回は、ご了承願います。

最初にYoutubeに動画が結構アップされていたので、そちらを紹介します。最近Youtube動画に色々アップされていることが多いので助かります。

東京オペラシティ アートギャラリー「松谷武判 Takesada Matsutani」松谷によるパフォーマンス

Takesada Matsutani: In the Studio

現代美術家の松谷武判

松谷武判

松谷武判さんは具体美術を代表とする現代美術家で、現在はフランス パリを拠点に活動されています。2019年にはポンピドゥー・センターで個展を開催されています。水溶性接着剤をキャンバスの上に乗せ、乾かしながら形を作っていく手法が特徴的で、ストローで膨らませたり、割ったり、キャンバスの上に接着剤の素材感を感じる厚さを使って絵を描いたりしているのが特徴的な作家さんです。

個人的には具体美術協会に所属されていた作家さんの作品を鑑賞するのは初めての体験となります。アメリカ ポップアートから西洋美術史に興味を持ったので、「具体」は結構遠いカテゴリーでしたが、コツコツと西洋美術史を学んでいると、自然と「具体」と呼ばれる美術にもしっかり興味を持ち始めてしまいました。

初めて「もの派」の作品を見た時のような衝撃を受けました。独創的でよかったです。何よりも水溶性接着剤に期待して足を運びましたが、鉛筆画も好きなので大胆に鉛筆を使った作品が多数展示されていたので、完全に楽しみながら鑑賞できました。

1950年代頃から作品制作を開始した松谷さんですが、時代は抽象表現主義が全盛を迎え、様々なアーティストが抽象表現主義を拡張していた頃になります。

具体美術協会

具体美術協会は、戦前から関西を中心に活動した吉原治良をリーダーとする前衛芸術家集団である。吉原治良とその周りに集った若い芸術家たちが 1950年代半ばにグループを結成し、日本万国博覧会への参加をピークに終息に向かい、吉原が没した1972年に解散するまで、従来の芸術の枠組みにとらわれない斬新で活発な制作を行い、国内外の注目を集めた。

抽象表現主義の影響を受けながらも、独自の実験的なアプローチを採り、世界的にも注目を集めました。

会員たちは、東京や京都などで展覧会「具体美術展」を開催し、作品を発表しています。「もの派」と並んで日本の現代美術を代表する国際的動向に位置づけられています。

1.設立と背景

具体美術協会は、1954年に大阪で創設されました。創設者は、画家であり彫刻家でもあった吉原治良(よしはら はるよし)で、彼は当時の日本の美術界における既成概念に反発し、新しい芸術表現を模索していました。吉原治良は、従来の美術が持つ形式や概念に囚われず、自由な創造の場として具体美術協会を設立しました。

2.具体美術協会の理念

具体美術協会の理念は、従来の美術界の枠組みを超え、物理的な素材や形態にこだわらず、身体的な表現を重視することでした。彼らは、感覚的で直接的な表現、物質を使った新しいアートの形態を追求しました。彼らが目指したのは、**「具体的な創造」**であり、作品の中でその素材そのものが持つ力や、創作行為そのものの過程を重要視しました。

3.特徴的な表現方法

具体美術協会のメンバーは、絵画、彫刻、インスタレーション、パフォーマンス、さらには音や動きといった多様なメディアを駆使し、表現の幅を広げました。特に以下のような特徴がありました:

物質的実験

油絵のキャンバスや彫刻の石、金属にこだわらず、木材、ゴム、布、紙、さらには環境に存在する物質まで、あらゆる素材を用いた実験的な作品が生まれました。

身体的な表現

絵画や彫刻の枠を超えて、パフォーマンス的な要素を取り入れた作品も多く、体の動きそのものがアートとなることがありました。

抽象的・具象的要素の融合

抽象表現主義やダダイズムの影響を受けつつも、具体的なイメージや現実世界の物を表現に取り入れることがありました。

4.活動と国際的な評価

具体美術協会は、日本国内だけでなく、国際的な舞台でも高く評価されました。1950年代後半から1960年代にかけて、協会のメンバーは海外展覧会にも参加し、ニューヨークやヨーロッパなどでその作品が紹介され、世界の美術シーンでも注目されるようになりました。

ニューヨークでの展覧会(1958年)は、特に大きな反響を呼び、具体美術の名は世界に広まりました。
また、具体美術協会の活動は、抽象表現主義と日本の伝統的な要素を融合させたものとして、アートの国際的な潮流に影響を与えました。

カメラの画質が悪すぎて今回はこの辺にしときます。
さて、別の展示スペースでは「抽象の小径 収蔵品展081 寺田コレクションより」が開催されており、そこで具体美術協会に参加していた白髪一男の作品が展示されていました。

李禹煥の作品も2点展示されていました。

まとめ

今回はカメラを忘れてしまったのが大きかったですが、展覧会自体は貴重な体験となりました。会期も残りわずかですので、興味ある方はオススメします。

最後に併設のギャラリーショップ「Gallery 5」で「ライアン・ガンダー」の書籍を一冊購入して帰宅しました。こちら読み終わったら、最近研究し始めたコンセプチュアルアートに関する記事を再開したいと思います。ちなみに明日はちょうど、WHAT MUSEUMでコンセプチュアルアートに関する展覧会をやっているので、そちらに伺う予定です。


公式サイト|https://www.operacity.jp/ag/
会期:2024.10.3[木] – 12.17[火]

参考

https://www.centrepompidou.fr/en/program/calendar/event/crEjd7n
美術手帖:「松谷武判」(東京オペラシティ アートギャラリー)開幕レポート。
普遍的な美の探求者、松谷武判インタビュー。なぜ日本を離れ、“美”を作り続けてきたのか(文:島田浩太朗)

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