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改めてマルセル・デュシャンについて調べた備忘録 2024

皆さんこんにちは。今日は2024年11月25日(月曜日)、東京は快晴です。日が出ている時間帯は秋の雰囲気が感じられますが、夜は寒くなりそうな雰囲気です。(この記事は26日以降も、新しい事を学んだ以降も更新されていっています。)

さて、今日はデュシャンの話です。デュシャンは「現代アートの父」、「ダダイズムの巨匠」観念としての芸術「コンセプチュアルアート」を生み出したと評されている現代アートを学ぶにあたっては、重要な芸術家の1人です。

デュシャンの作品は難解なので、本を読んでも、個人的になんかしっくりきません。特に泉については色々な意見や考察があります。おそらく知っている情報が足りないからだと思い、昨日はなかなか寝付けなかったので、改めてマルセル・デュシャンについてベッドの上でiPadを使って色々調べてみました。

それを備忘録として記述していきます。
※僕は専門家ではないのでネットの情報をベースに調査しながらまとめた内容なので間違っている可能性もあります。ご了承願います。

1.重要なポイント

まず、今回の記事は長いため最初に重要なポイントを最初に紹介します。

デュシャンは今までの「絵画・彫刻」作品の在り方に疑問を持ち、本当に芸術とはこれでいいのか?と考え、新しい芸術そのものの在り方を提示する事に挑戦した。目で見て芸術を楽しむスタイルを否定し、「網膜的絵画」という言葉を使ったデュシャン。網膜だけで芸術を楽しむというスタイルを批判し、新しく作る自分の芸術を提示した。鑑賞者が美術館で作品の前に立ち、目で鑑賞するという、当たり前のことを否定したかった。

レディ・メイド自体のアイデアは19歳の時に思いついていた

デュシャンは19歳の時に既に、既製品をお店でアーティスト自身が何を購入するか意思決定の後、購入し、組み合わせて作品とする制作方法を19歳の時に思いついていた。

デュシャンはアーティストの意思決定こそが重要だと考えていた。

ギュスターブ・クールベ以降、絵画そのものが変わっていった

芸術というのは、そもそも、宗教的、哲学的、道徳的でもあったはず。
網膜だけで芸術を楽しむというスタイルへ、ギュスターブ・クールベから変わっていった。
 ↑
それに対してデュシャンはどうすると新しい芸術が作れるか考えた。

レディ・メイド

レディ・メイドという言葉をデュシャン自ら提示し使用した。ここもポイントです。Readymadeという言葉は「既製品」という意味ですが、美術史においては用いられなかった言葉です。それをあえて、デュシャンが意図的に使用しています。

ピカソの『籐椅子のある静物』 Nature morte à la chaise cannée

『籐椅子のある静物』1912年​​
油彩 カンヴァス 荒縄 29.0cmx37.0cm
パリ「ピカソ美術館」所蔵

デュシャンのレディ・メイドを考える時に、注目すべきピカソの作品があります。パブロ・ピカソの『籐椅子のある静物』です。作品画像は著作権上、掲載できないので画像とピカソ美術館による解説はこちらから見てください。ピカソ美術館のYoutube公式チャンネルに解説動画があったのでそれを紹介しています。

作品自体の構造が面白くて、ロープで外周を枠を作り、楕円形のキャンバスに「籐椅子の網目状の模様」が印刷された布を貼り付けて右の方から輪切りのレモン、果物ナイフ、キャンドル、ワイングラス、新聞、JOUの文字(JOURNALやjouer à、フランス語で日記、遊びといった言葉を連想させる仕掛け)、パイプをキュビスムの描き方で制作した作品です。

以下は、ピカソ美術館の解説の訳です。

「籐椅子のある静物」は知的ゲームであり、ピカソが言うように「だまし絵」です。ロープとオイルクロスという 2つのユニークな要素を楕円の中に設定し、籐椅子の網目状のパターンの印刷物を貼り付けています。

テーブルか?
それとも単純なオブジェクト?
色々なものを組み合わせた?
コラージュ?

「籐椅子のある静物」はキュビズムの新たな進化を示しており、その中にはさまざまな概念的要素が見られます。

「日記」または「遊び」を意味する文字「JOU」、パイプ、グラス、キャンドル、ナイフ、そしてプラスチックのサインです。

混乱している画面はロープによって縁取られています。

これは、ピカソのスタジオにあった、取り外し可能な天板を備えた台座テーブルの装飾のロープを思い出させます。

ブラシストロークとペイントの水平ストリップによって構成されたオイルクロスは、テーブルクロスを表しているのでしょうか、それとも椅子の座面を表しているのでしょうか?しかし、それではどうやって台座テーブルに置くことができるのでしょうか?さらに、垂直に?現実の要素を作品に統合し、絵画のサポートの垂直性の巧妙さを強調することで、ピカソは古典芸術における現在の表現システムに疑問を投げかけます。

追記

『籐椅子のある静物』は純粋な絵画作品としての印象がだいぶ薄れてきて、コラージュ作品としての印象が半分位占めています。西洋美術史においてコラージュが作品として価値があると認められた作品の1つです。

デュシャンは既製品を組み合わせることによって、また単体で作品としましたが、ピカソは自分で手を加えて作品制作を行なっています。

コラージュの歴史についてはArtpedia(近現代美術百科事典)さんの解説が詳しくてわかりやすいです。ピカソ美術館による解説はこちらから読む事ができます。

Marcel Duchamp | HOW TO SEE “Readymades” with MoMA curator Ann Temkin

MoMAのキュレーターAnn Temkinさんによるデュシャンのレディ・メイド作品をどう鑑賞すればいいか解説してくださっている動画になります。自動翻訳機能を使えば日本語訳が表示されます。

2.デュシャンの主要作品

ここまでが、デュシャンの作品を見ていく前に、知っておいた方がいい情報です。そして、ここから、今回改めて調べた情報に関連するデュシャンの主要作品を紹介していきます。

Nude Descending a Staircase, No.2(階段を降りる裸体 No.2)

『階段を降りる裸体 No. 2』(フランス語: Nu descendant un escalier n° 2 )は、マルセル・デュシャンが1912年に制作した絵画である。この作品はモダニズムの古典として広く認められており、同時代で最も有名な作品の一つとなっている。1912年にパリで開催されたアンデパンダン展で初めて発表される前は、未来派すぎるとしてキュビズムの画家たちから拒否された20日5月10日までバルセロナのダルマウギャラリーのキュビズム美術展でキュビズムの画家たちとともに展示された。 その後、この絵は1913年にニューヨーク市で 開催されたアーモリーショーに出品され、嘲笑された

『階段を降りる裸体 No. 2』は、ギヨーム・アポリネールが1913年に出版した著書『キュビスト画家たちの美的瞑想』に複製された。現在はフィラデルフィア美術館のルイーズ・アンド・ウォルター・アレンズバーグ・コレクションに所蔵されている。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

chocolate grinder,no.1(チョコレート磨砕器 No.1)

1912年 油彩、キャンバス 61.9 x 64.5 cm フィラデルフィア美術館
This is a file from the Wikimedia Commons.

磨砕器(まさいき)と読みます。チョコレート磨砕器と言われてもピンとこないかったので「Chocolate grinder machine」で画像検索してみました。こちらからご確認ください。写真じゃピンとこなかったのでYoutubeで検索したら結構紹介されていました。その中から1つだけ動画を紹介します。

チョコレートの作り方

チョコレートというのはカカオ豆をロースト(焙煎)して砕いた「カカオニブ」といいます。このカカオニブをすり潰して液状にし、砂糖を加えて練り上げ、冷やし固めます。

チョコレートグラインダーの回転運動

上で紹介した動画をみると回転運動が起きているのがわかります。他の動画も観てみましたが、基本的に回転運動をするのがチョコレート磨砕器みたいです。

この作品が、より難解になっているのは以下が重要です。
この回転運動と伴ったチョコレート磨砕器にデュシャンは性的な意味を含ませたとのことです。

???
理解できません。。。
性的なことは人それぞれの感覚があるから、自分は理解できないのか?

よく分かりませんね。。。

デュシャンは回転するものに何か特別なものを感じていたようです。

回転する物体へのデュシャンの執着は、『自転車の車輪』や映像作品『アネミック・シネマ』にもみられます。

Marcel Duchamp – Anemic Cinema

この作品への考察は長くなりそうなので、別のブログ記事で考えてみたいと思います。

Fountain 泉

『Fountain / 泉』マルセル・デュシャン1917年
『泉』(いずみ、Fontaine)または『噴水』は、1917年に制作されたレディメイドの芸術作品であり、磁器の男性用小便器を横に倒し、”R.Mutt”という署名をしたものに「Fountain(噴水/泉)」というタイトルを付けたものである。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

京都国立近代美術館で2017年4月19日〜2018年3月11日に開催された「キュレトリアル・スタディズ 12 泉/Fountain 1917-2017」。
当時開催されたギャラリートークがPDFとして閲覧できます。特に「マルセル・デュシャン29歳、便器を展覧会に出品する」のギャラリートークがデュシャンの泉について詳しく解説して頂けているのが勉強になりました。

The Bride Stripped Bare by Her Bachelors, Even(独身男性たちによって裸にされた花嫁、さえも)

『独身者たちに裸にされた花嫁』(フランス語 : La mariée mise à nu par ses célibataires, même)は、マルセル・デュシャンによる芸術作品で、高さ2.7メートル以上、幅1.76メートル近くあります。

タイトルが長いので、通称「大ガラス」と呼ばれている作品です。
デュシャンは1915年から1923年にかけてニューヨークでこの作品に取り組み、鉛箔、導火線、塵などの材料を使って2枚のガラスを制作しました。この作品は、偶然の過程、プロットされた遠近法の研究、そして骨の折れる職人技を組み合わせたものです。デュシャンのガラスの構想は1912年に始まり、彼は多数のメモや研究、そして作品の準備作業をしました。メモには、独特の物理法則と、作品を説明する神話の創造が反映されています。

独身者たちに裸にされた花嫁は、緑の箱の注釈(1934年)にも付けられた題名である。これは、デュシャンが、この大きなガラスに対する純粋に視覚的な反応を防ぐため、本を添えることを意図していたためである。注釈には、彼の「陽気な絵」は、上部のパネルの「花嫁」と、下部のパネルのたくさんの謎の機械装置の中に恐る恐る集まった9人の独身者とのエロティックな出会いを描写することを意図していたと書かれている。

この大きなガラスは、1926年にブルックリン美術館で展示されたが、輸送中に壊れ、デュシャンによって意図的に壊れたままにされた。彼はガラスを交換しないで、破片を接着し直すことにした。

これは現在、フィラデルフィア美術館のパーマネントコレクションの一部となっている。デュシャンは、1961年にストックホルム近代美術館での展覧会用に最初のレプリカを、1966年にロンドンのテートギャラリーでもう1つを認可した。3番目のレプリカは東京大学駒場博物館に所蔵されている。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

大ガラス以降、作品制作をやめてしまっています。(裏で、遺作としての作品制作は行なっていました。)1968年に死去し、遺作とされた作品が公開され、世間は驚愕しました。20年間に渡って秘密裏に制作されていた《与えられたとせよ1.落ちる水2.照明用ガス》と題された作品です。

マルセル・デュシャン インタビュー01

まずは貴重なマルセル・デュシャンのインタビュー映像です。海外の動画に字幕をつけてくれた方がいらっしゃいます。(元の動画

マルセル・デュシャン インタビュー02

趣味という言葉が印象的です。
元の動画

Marcel Duchamp interview on Art and Dada (1956)

美術史家であり、グッゲンハイム美術館のキュレーターであり元館長のジェームス・ジョンソン・スウィーニー(James Johnson Sweeney)さんによる、1956年に行われたデュシャンへのインタービュー映像です。1956年は、マルセル・デュシャンが69歳の頃。泉が1917年制作なので泉から37年後のインタビューとなります。大ガラスの割れた経緯からインタビュー動画は始まります。

アレンズバーグ夫妻

アレンズバーグ夫妻は1950年にこのコレクションをフィラデルフィア美術館に寄贈しています。
マルセル・デュシャンの作品35点が集められているフィラデルフィア美術館のアレンズバーグ・コレクションの中でこのインタビュー動画が制作されました。

デュシャンは、印象派からキュビズム、そしてポストキュビズムのアプローチへの移行について説明し、《階段を降りる裸体》(「これを描いたとき、私はイタリア未来派を意識していなかった」)と《大ガラス》(「2つのひび割れは対称的に配置されており、そこには…ほとんど意図がある…言い換えれば、私が尊敬し愛している、出来合いの意図がある」)の前に立ってコメントしています。
(参照:https://arttimes.co.za/on-art-and-dada-1956-an-interview-with-marcel-duchamp-on-art-and-dada-1956/

極めて論理的なコンセプトにも関わらず、逆説的に「ドライさ」と「機械的な正確さ」を求めるデュシャンの願望と一緒に作品に表現されています。理想的な大衆のため(デュシャンはエリート主義・人物と大衆を明確に区別する見解の持ち主。)に絵を描くというデュシャンの考えを知ることになります。

有難い事にこちらの動画はYoutueの設定で自動翻訳機能が使えるので日本語訳と一緒に映像を観ることができます。

Arensberg Collection(アレンスバーグ・コレクション)

アメリカの著名なコレクターであるアレンスバーグ夫妻(Dr. A. H. Arensberg と Mrs. M. Arensberg)が収集した美術品や芸術作品を指します。このコレクションは、20世紀初頭のモダンアートの発展に重要な役割を果たし、特にパリのアートシーンと密接に関連しています。

アレンスバーグ夫妻は、特にヨーロッパの前衛的な芸術家たちとの交流が深く、フランスのモダンアート運動やシュルレアリスム、キュビズムなどの重要な潮流に大きな影響を与えた作品を収集していました。コレクションには、ピカソ、ダリ、マティス、ブラック、レジェ、ジョアン・ミロなどの巨匠たちの作品が含まれており、彼らのアートに対する支援や評価が高く、コレクションそのものも非常に貴重とされています。

特に、アレンスバーグ夫妻はアメリカのコレクターとしては先駆的な存在であり、モダンアートを支持し、アメリカの美術界にその影響をもたらしました。アレンスバーグ・コレクションはその後、数回の売却や展示を経て、アメリカの主要な美術館にも寄贈され、一部はフィラデルフィア美術館(Philadelphia Museum of Art)に所蔵されています。

このコレクションは、モダンアートの歴史における重要な遺産として評価されています。

ここまで調べたら、新しい本を読みたくなりました

そして、日があけて翌日の26日となっています。このブログ記事は1日で書き終わっていません。日をまたぎます。

さて、昨日ネットで情報を調べ続けていたのですが、ここまで調べたら、新しい本を読みたくなりましたのでメルカリさんで図録「京都国立近代美術館 キュレトリアル・スタディズ12: 泉/Fountain 1917-2017」を購入。購入した11月25日の翌日の11月26日に14時位に届きました。出品者さん迅速な対応有難うございます。スマホで購入して次の日の14時には手元に届くとは、信じられません。

先ほど届きましたので読んできます。これ以降は、読み終わった後にブログを追記していきます。

マルセル・デュシャン

マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp、1887年7月28日 – 1968年10月2日)は、フランス生まれの美術家。20世紀美術に決定的な影響を残した。画家として出発したが、油彩画の制作は1910年代前半に放棄した。チェスの名手としても知られた。ローズ・セラヴィ(Rrose Sélavy)という名義を使ったこともある。2人の兄、ジャック・ヴィヨン(Jacques Villon, 1875年 – 1963年)とレイモン・デュシャン=ヴィヨン(Raymond Duchamp-Villon, 1876年 – 1919年)も美術家。1955年、アメリカ国籍を取得した。

近年の研究では、代表作の『噴水(泉)』を含む多くのデュシャン作品は、ドイツの前衛でダダイストの芸術家・詩人の女性、エルザ・フォン・フライターク=ローリングホーフェン(Elsa von Freytag-Loringhoven)が制作したとされている。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

参考

京都国立近代美術館 キュレトリアル・スタディズ12: 泉/Fountain 1917-2017
James Johnson Sweeney(Wikipedia)
Louise and Walter Arensberg – The Metropolitan Museum of Art
美術手帖:デュシャン作品の殿堂。フィラデルフィア美術館館長、ティモシー・ラブに中尾拓哉がインタビュー
デュシャンの車輪に始まる
「網膜的絵画」とは

[みゅう]パリ 美術コラム 『籐椅子の静物画』パブロ・ピカソ
美術手帖:コラージュ(ART WIKI)

「キュレトリアル・スタディズ 12 泉/Fountain 1917-2017」

1917年にマルセル・デュシャンによって「制作」されたレディメイド作品《泉》は、20世紀美術にもっとも影響を与えた作品として知られています。また1960年代のコンセプチュアル・アート以降、デュシャンの《泉》を解釈・解読すること自体が創作行為にもなっています。2017年4月に《泉》が100周年を迎えるにあたって企画されたこのプログラムでは、当館の所蔵作品だけでなく現代の美術家によるデュシャン解読の作例を加え、各回展示替えをしながら本作品の再制作版(1964)を1年間展示するとともに、さまざまなゲストを迎えて《泉》およびデュシャンをめぐるレクチャーシリーズを開催します。
https://www.momak.go.jp/Japanese/collectionGalleryArchive/2017/specialTheme2017curatorial12.html

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